春のスタイリングは「オックスフォード」で英国気分

列島のあちこちで歴史的な積雪に見舞われている今季。
例年になく冷え込んでいますが、街路樹の枝の先にはもう、
小さな実が膨らんで、春の開花を待っている様子。
自然のなりわいは、ヒトを勇気づけてくれます。

さてさて、この前新年を迎えたばかりだというのに、
2月ももう半ばにさしかかろうとしています。
昨年の新卒が、もはや後輩を迎える時期。
そして、今年の新卒の方々は、新入社への期待を胸に
準備されている頃では?
最近は男子といえどおしゃれな方が多く、
体に合っていないスーツを着ているヒトは昔ほど見かけなくなりました。
そんな今日このごろ、ではドレスシャツはどうでしょう?
この時期にワードローブに加えたいアイテムとしては、
オックスフォード素材のドレスシャツがおすすめです。

縦糸と横糸を複数本ずつ引きそろえて、平織りにした生地がオックスフォードです。
適度な厚みがあり、織目がはっきりしているのが特徴です。
厚いけれどソフトで、通気性がよくて丈夫。
そのためスポーティカジュアルなアイテムに用いられたり、
シャツの場合はボタンダウンに使われることが多い素材です。
とはいえ種類によっては光沢があってしなやかで品もあり、
上級のスタイリングが楽しめる素材でもあります。

もともと「オックスフォード」といえば、ご存知英国の名門大学の名称。
国内外の王侯貴族が学ぶ大学としても知られ、
日本の皇室からも皇太子殿下や秋篠宮殿下などが留学しています。
もちろん内容もトップクラスで世界の大学ランキングでも首位の常連です。
昔、スコットランドのある紡績工場が、
オックスフォード、ケンブリッジ、イェール、ハーバードの大学名を
生地の商品名につけて販売したところ、
それが人気を博してその名が定着したといわれています。
とはいえケンブリッジなどの大学名をつけた生地は、あまり知られていないので
オックスフォードだけが突出して支持されてきたのでしょう。

人気の秘訣は、素材の持つ品格もありますが、
スタイリングによってはシワがゆるされる生地といえる、
その自由度の高さにあるといえます。
着れば着るほど自分になじんでくるのがオックスフォードの特長であり、
タイドアップでジャケパンスタイルに用いれば、
ビジネスシーンに最適の頼もしさ。
洗いっぱなしでジーンズやチノパンに合わせれば、
オフシーンでスタイリッシュに決めてくれる。
そうした着回しのよさが、この素材の大きな魅力です。

春のきざしが見えるとは言え、リネンにはまだ早い、
でも、日によっては気温が高くなるときも。
そんな季節に最適な性質の素材でもあります。

また、この春のトレンドはイタリアンでもタイトで粋なラインが薄まり、
英国調のユルっとして素朴なラインが勢いをつけています。
ロンドンのシティを闊歩する若きビジネスマンのような、
ジャケットにオックスフォードのボタンダウンで
アイビーやアメトラのコーディネーションを。
こうしたアメリカンスタイルをヨーロピアンテイストで
コーディネートするのが、今、最も新鮮です。
あるいは、英国の大学教授の田舎の休日ルックのように、
シワや毛羽立ちのあるオックスフォードシャツにコーデュロイのパンツ、
レンガやマスタード色のカーディガンを合わせて、
ミルクたっぷりの紅茶を手に読書を楽しむ。

おしゃれ上級者からビギナーまで、
幅広く活躍してくれるオックスフォードは、
洗えば洗うほどに味が出る、スタイリングの強い味方。
しかもクールビズにもおおいに役立ってくれるのが、
タイを外しても個性的な存在感を見せるオックスフォードたるゆえん。
この春、ワードローブに迎え入れてみては?

●土井縫工所では、2/9(金)からオックスフォード・フェアを開催中です。

既存の4柄に加え、新柄も6種類が新しく加わりました。
フェア限定の生地も登場しているので、この機会にぜひ!!

*フェアの生地の色や柄などの詳細は、土井縫工所のブログ、
「WE ❤ OXFORD !! ~愛しのオックスフォードのシャツを求めて~」
をご覧ください。

ピッティ・ウォモで歴史とトレンドを見聞する


地球はほぼプチ氷河期に入っているという、
ショッキングな情報もあるほど、極寒の今冬です。
みなさまいかがお過ごしでしょうか?

この時期、SNSやブログなどでしばしば遭遇するのがPITTI IMAGINE UOMOの話題です。
通称「ピッティ」は、英国と並ぶメンズファッションのトレンド発信地、
イタリア・フィレンツェで行われる世界最大級のメンズプレタポルテの見本市で
毎年、 1月と6月にそれぞれ4日間、開催されます。
93回目となる今年は1/9〜13に行われましたが、会場がまた魅惑的。
日本で見本市の会場というと、晴海の東京ビッグサイトのような
ハイテク&モダンな建造物を想像しますが、そこはさすがイタリア。
終着駅であるサンタ・マリア・ノヴェッラ駅にほど近い、通称「バッソ要塞」がそれ。
1537年に当時フィレンツェを治めていたメディチ家の当主が高名な建築家に建てさせた、
文字通り要塞で、建設当初は中にお城も建てる予定だったとか。
この築480年の大建造物が現在は貿易展示場に使われていて、
約6万平方メートルの敷地内に複数の会場が設けられています。
ピッティの名称は、かつての会場がピッティ宮殿だったからなのだとか。
ちなみにこの要塞の近所にあるサンタ・マリア・ノヴェッラ薬局は
世界最古の薬局といわれる観光スポットです。
中世の世界に迷い込んだような歴史的ロケーションの中で、
メンズファッションの明日を示す見本市が行われるわけで、
まさにここでは過去と未来のカタチが共存しているという次第。

見本市にはイタリア国内外から約1000以上の、
有名無名、大小の意欲的なブランドが参加します。
来場者も世界各地から、バイヤーや報道陣が訪れ、
2017年は19,400人がバッソ要塞に集結したといいます。
ここに集まるファッショニスタたちを写そうと、
多くのメディアやブロガー、一般人も集まり、
スタイルを巡る熱い4日間が展開するのです。

出展アイテムはスーツやシャツはじめ、ネクタイ、靴、バッグほか、
ファッションに関する小物雑貨類のさまざまが出展されます。
会場はメインからサブまで大小複数が設けられ、
メインではクラシコイタリアなど、サブではデニムやカジュアル、
などといったスタイル別、傾向別、テーマの打ち出し別で展示会が分かれています。

そして、欧米やアジアのバイヤーの中でも、日本のビジネスはかなり大きいといわれ、
大手百貨店や主なセレクトショップがここで、
次期のトレンドの道筋を見据えながら買い付けているわけです。

もちろん土井縫工所も毎回、トレンドの動向をリサーチするべくPITTIを訪れています。
取引先のブランドが出展していることもあり、
毎回、会場に並ぶコレクションからトレンドを探り、
訪れる人達のコーディネーションにも刺激を受けています。

そこで、スタッフが見た今回の印象は、
英国のブランドのみならず、イタリアのブランドからも、
艶っぽいイタリアンラインが少し影を潜め、英国調が強くなっている模様。
仕立てやサイズ感もゆったりした感じで、
クラシックであったり、ビンテージ風であったり、少しカントリー調であったり。
素材も、ガンクラブチェックやグレンチェック、タータンなど、
英国調やスコティッシュテイストのもの、
またコーデュロイやフランネルなどカントリーテイストのものも
目立っていたといいます。
ツイードやヘリンボーンはじめ、ネップ、シルクシャンタンなど、
織地に特徴のある生地も今シーズン、よく目にした素材といいます。

色展開では深いオレンジやテラコッタ、マスタード、モスグリーン、
マスタード寄りの黄色、カーキや抹茶寄りのグリーンなど、
落ち着いた色目のもの。
傾向として、くすんだようなスモーキーな色合いがトレンドのようです。

デザイン的には、ビンテージやクラシカルなラインが目立ち、
あえて着用感のある効果を演出しているものなども。
また、小紋や幾何学模様などノスタルジックなパターンも打ち出されていたそうです。

肝心なシャツは?というと、
コーデュロイやフランネルなどを使ったサファリぽいものやウェスタン調、
ボタンダウンでアメリカンテイストなもの、
英国調のビンテージなプリント柄やチェック使いのものなど、
全体的にカジュアルスタイルが多い印象だったようです。

見本市には、各社、各ブランドとも、
張り切って、意欲的・挑戦的な打ち出しをしてくるもの。
とはいえ、実際にビジネスベースで売れるものは違っていたりするので、
ブランド側が見せたいものと、バイヤーが見たいものが
しばしば違っていたりすることも。
そんななか、高級ドレスシャツのメッカ、イタリアでも、
「最高峰のマシンメイドドレスシャツ」と称される、
高級シャツブランドの「FRAY(フライ)」のプレゼンテーションは
基本中の基本にして、ごまかしのきかない白いドレスシャツ。
そのプライドに心打たれます。

ピッティのあとはミラノに移動し、
おつきあのある参加ブランドのショールームにおもむいての商談や、
ミラノ界隈のショップでマーケティングを重ねた土井縫工所のスタッフたち。
今回のPITTIでの体験や見聞した次のトレンド傾向は、
今後の製品づくりに反映されていくはずです。

※ 写真は、上2枚がPITTIを訪れた人たちのスナップ。とくにダンディファミリーが圧巻!!
その下からはスタッフたちのスタイルと、街の光景。最後がスタッフ行きつけのリストランテのメニュー。
イタリアはウマイ!!


今年もよろしくお願いいたします。

迎春

本年もどうぞよろしくお願いいたします。
すでに2018年がスタートして、早2週間が経ちました。
日本列島は最強寒波に見舞われ、
アメリカも記録的寒波に襲われているといいます。
凍ってしまったイグアナが、木からボトボト落ちているとか。
一方、現在真夏の南半球は40度を超える記録的暑さで、
オーストラリアではコウモリの子の大量死が発見されたとか。
現地の温度はなんと47度、熱湯風呂の中で暮らしているようなもの。
コウモリの子たちは脳が湯だってしまったらしく
47度という環境がいかに自然生物に過酷かがうかがえます。
南極では氷が溶けてシロクマの居場所がなくなっているというし、
温暖化による異常気象は地球のあちこちで問題に。
今後はこの『異常気象』が異常ではなく正常化していくわけで、
50年後には地球の生態系が今とはかなり変わっていそうです。
たとえば恐竜が地球を跋扈していた約1億6千万年の間、
絶滅したのは、たったの16種くらいだったそうです。
時代を経て1975年から2000年までの25年間では年間平均4万種、
13分間に1種の生物が絶滅したそうな。
今この瞬間も、世界のどこかで、ある種の生物の最後の一体が、
永遠に地球から姿を消そうとしている。
もしもあなたが、未来の地球で人類最後の個体になったらどうします? なんてね。

そんなこんなの寒波の中。
過酷な環境をものともせず、世は年末年始のセール真っ最中です。
アパレルやインテリアのショップは大盛況。
それまで購入を迷っていた商品の在庫を見つけて喜び、
定価で購入したものが半額やそれ以下になっていてがっくり、
という悲喜こもごもがセール時期のお約束。
その一方、購入した商品に限ってセールで再会、
迷っていた商品に限ってセールに出ていない。
そのくやしさもお約束。

最近、グローバルブランドのメンズを見ると、
レディスと同じ花柄のスーツがあったりします。
パリコレなどのメンズのラインナップを見ても、
一瞬レディスかと見まごうようなデザインのものが多く、
どんどんモノセックスになっています。
デザイナーやクリエーターにとって、
メンズのアイテムは変化を加えにくいもの。
とはいえ、昨今のハイブランドは若返りを図って、
クリエイティブな若手デザイナーを起用しますから、
そんなデザイナーたちががんばってクリエイティビティを発揮しようとする。
そこで、ボトムがスカートだのアップリケ付きのジャケットだのという、
新境地を発表するのですが、それがどう見ても女の子のアイテム。
かつて欧米のメンズはデザイン傾向もモデルの傾向も
バリバリのマニッシュ感を打ち出していましたからその変化に驚きます。
ひょっとすると男性のフェミニン化は、
絶滅を防ぐための自然な流れなのかとも思ってしまいます。
なんといっても地球規模で男性より女性の方が長生きですから。

そんなこんなの戊年。
干支的には景気が良くなる年と言われます。
春には卒業や就職、部署の移動などを予定されている方もいらっしゃるのでは?
いえいえ、私は同じ場所で今年もがんばりますという方も。
いずれにしろ、新しい年があけて気持ちもあらたに。
そして、よい年になりますよう。

郷土料理とグローバルブランドを堪能


ついに今日は大晦日です。
年年、月日の経つのが早くなる、それがヒトの宿命です。
今年のお正月なんて、つい先月だったような。

年末に用事で福岡に行きました。
羽田から地方の空港に降り立つと、
それもまた旅の風情と楽しめるものの、
規模やアップデート度の差はあきらか。
ところが福岡空港に関しては、到着ロビーにいきなりあるのが、
地元感満載の古き佳き食堂とかでなく、おしゃれなカフェダイニングだったり、
TSUTAYA BOOK&CAFEだったり。
出発ロビーにあるフードコートも人気のニューヨーク風インテリアです。
空港から天神や博多などの中心地へは、地下鉄でたった10分程度でアクセスできたり、
東京にも勝る充実した内容のSCがたくさんあったり、
街は大勢のヒトで賑わっていて、
さすが九州を代表する中枢の街にして日本の四大都市圏のひとつとされるところです。

一泊の短い滞在で当日は天神を見て歩き、
用事を済ませた翌日に博多のキャナルシティに行ってみました。
キャナルとういうくらいだから運河のそばにあるんだろう、
くらいのことを思っていたのですが、
実際には建物の間を人工の運河が流れていて、
この時季はライトアップの効果もあり、
東京でもちょっと見ないテーマパーク然としたSCでした。
シネコンや劇場、ホテルやオフィスビル、SCからなる複合施設で、
90年代半ばのオープンとのこと。
建物のエクステリアやロゴからは、90年代ぽさがプンプン感じられます。
早い話し、そこらあたりはちょっと、ロゴだけでもそろそろ……
リニューアルしたほうが……と余計なお世話を考えてしまいました。
とはいえ、国内最大級のZARAや九州最大級のユニクロはじめ、
H&MやBershka、Franc Franc、無印など、
人気のアパレルやインテリアのブランドが揃っています。
とくに、H&MやZARAのようなグローバルブランドのショップを見ていると、
ショップの面積が大きく、海外からのお客さんも多いので、
日本の地方都市にいる感じがなく、どこか異国の街にいるような
不思議な感覚を覚えてしまいました。
これが福岡という街の個性なのでしょうか?
ともあれ、ファッションやアパレルのグローバル化を
改めて感じた旅でもありました。
今や、ことファッションや一部のインテリアに関しては
世界の先進国の嗜好はかなり一致しています。

そして、これに関してはやっぱり違うと思ったのは、
そう、食べ物です。
福岡では、どんなお店に入ってもおいしい。
海に近いので海鮮はもとより、麺類も美味。
これは福岡はじめ、どこに行っても思うことなので、
結局、東京の食環境がマズいのでは?ということかも。
もちろん、東京は世界中のおいしいものが集まる街だし、
世界三大料理の1つ、中華料理にしても、
世界で一番おいしい中華料理を出すのは香港か東京の店という人もいます。
なぜなら、中国で一番おいしい店の料理人は、
必ず香港か東京の店に引き抜かれてしまうからだとか。
その真偽は別として、確かに東京の店ではすべての料理が、
おいしいところは抜群においしいけれど、
そういうところはおしなべて高級です。
値段が庶民的でおいしいという店は珍しい。
だからこそ、そんな店は有名になって行列ができます。
どんな店に入ってもたいがいおいしい、というのが地方の食環境。
店によってはおいしい、というのが東京の食環境、という気がします。

マクドナルドはどこで食べてもマクドナルドだから、
ここだけは食もグローバル化しているかもしれないけれど、
それ以外はやっぱり、その土地ならではの味が根強い。
その土地の人の胃袋は、その土地の食で作られているから、
なかなかほかの土地の食を容認できない。
そこらへんがファッションとは違う、食の根強さです。
東京に世界中の食が集まるのも、
もともと江戸の町が、地方から入って来る人も多く、
プチ多国籍なところだったからなのでしょう。

その土地の名産とグローバルブランドのセール品をおみやげに買う旅。
そんな年末を迎え、今年も終わろうとしています。
今年一年、ご愛読いただきありがとうございました。
引き続き、来年もどうぞよろしくお願いいたします。
みなさまの2018年がよき年でありますよう。

エコファーとエシカルで冬を着る


街がイルミネーションでキラキラ輝く季節になりました。
心ウキウキ、でも寒い。
厚手のコートが欠かせない時期です。
現代ではダウンコートはじめ、
軽くて保温力抜群の高機能な化学断熱素材入りのコートが
いろいろ揃っているので、寒い季節もずいぶん快適になりました。
昔、ニューヨーク在住の友人が、毛皮のコートがないと、
あの街の冬は乗り切れないといっていたのが印象に残っています。
もう何十年も前にはじめて渡英した頃は、
ニューヨークより暖かく東京より寒いくらいのロンドンで、
毛皮を着ているマダム的な人がとても多く、
さらに、蚤の市などで大量に出ている古着の毛皮を着ている人は、
もっとたくさんいました。
かくいう私もキツネのハーフコートやストールを、
アンティークショップで買って着ていました。
当時はUKのロックミュージシャンもTシャツにジーンズ、
その上に古着の毛皮というのが冬のお決まりスタイル。
さらに、時代はまだワシントン条約が施行される直前で、
今ではとても持ち出せないような種の毛皮や皮製品も普通に流通していたので、
古着の豹皮コートさえ持っていました。

防寒に毛皮がお役立ちアイテムだった時代は終わり、
今や水鳥の羽毛や化学繊維が人類を寒さから守ってくれます。
絶滅危惧種の野生動物を守るためのワシントン条約のみならず、
次第に「自然保護・動物愛護」の機運が高まってきて、
とにかく動物の毛皮を剥いで作る毛皮製品は残酷という風潮になってきました。
(水鳥の羽毛はなぜOKかというと、これは羊毛のように、
生え変わる、つまり再生可能な素材だからでしょう)
今ではパリコレなどでも本物の毛皮=リアルファーでなく、
そっくりに造られたフェイクファーが使われています。
でもフェイクは偽物という意味なので、
これでは身も蓋もないということからか、
最近はエコファーという呼ばれ方をしています。
安くできてエコノミカルだからエコファーかというとそうではなく、
リアルファーより環境にいい、つまりエコロジカルなファーというわけです。

ファッションも環境を考えて成り立たせることが、
よりオシャレでスタイリッシュという時代なのですね。

そういえば、エシカルファッションという言葉も、最近よく見聞きします。
「エシカル(ethical)」は英語で「倫理的な」とか「道徳基準にかなった」といった意味。
その言葉の通り、道徳基準にかなって生産、流通されているファッションのことです。
それってどういうこと?かというと、
たとえば生産工程の中で誰かが劣悪な労働条件で仕事をしていたり、
アフリカなどの貧しい地域の人たちの生産物を搾取まがいに入手することなく、
フェアな工程と取引で生産されるファッションということ。
エシカルファッションでは、名のあるパリコレデザイナーなどが、
アフリカなどの貧しい地域の人たちに、まず技術を指導して、
さらに、そこにファッションアイテムの生産を依頼したりしています。
ただ支援するだけでなく、女性たちに手作業などのノウハウを教えて、
未来的にも職業として成り立つようにする。
地球規模で環境を整えるために役立つファッション、というのが、
エシカルファッションの考え方。
ハイブランドの服を着るというのは、そのオシャレ感もさることながら、
「これを着る自分」という満足感・優越感も満たされるもの。
それに加えて、環境にいいことを実践しているブランドの服を着ることで、
ボランティア活動に参加しているような、ある種の満足感を得られる。
それが今ドキの優越感につながるようです。

ファッションと環境がリンクする現代、
個人にとって究極の環境問題は家ということになります。
住居そのものはかんたんに変えられないけれど、
部屋の模様変えは簡単だし、マイナーチェンジなら服を着替えるくらいの気分でできます。
今やインテリアは、気に入っているファッションスタイルの仕上げのようなものです。

そんな中、「究極の家は服である」という考えのもと考案された服が、
先日「日本の家展」に出品されていました。
津村耕佑さんというデザイナーの考案した”FINAL HOME”で、
「『もし、災害や戦争、失業などで家をなくしてしまったとき、
ファッションデザイナーである私は、どんな服を提案できるか、
またその服は平和なときにはどんな姿をしているのか
こんな自分への問いに対し、形になったのが〜ナイロンコートです』
ポケットに新聞紙を詰めれば防寒着になり、
非常食や医療キットを入れるポケット付きで災害時には非難着になり、
マルチに役立つ服とのこと。
『FINAL HOME』というネーミングは直訳すれば「最後の家」ですが、
本作においては「究極の家」という意味を持たせているそうで、
存在を知らせるためのオレンジ・森に紛れるカーキ・都会に紛れるブラックの3色展開。
取説はコートの収納袋に記載され、機能的です。
このコートはリサイクル可能で、洗濯してショップに持っていけば、
被災者や難民の救済に寄付されるとのこと。
とりあえず、これを着て外出すれば出先で災害にあっても、
雨風はしのげて野宿も可能、という、
自分にも優しい、環境直結のファッションです。

「究極の家は服である」というフレーズから思い出すことがあります。
小学生の頃、寒い冬の朝に布団から起き上がるのがいやで、
布団やこたつに入ったまま移動できればいいのにと夢想した日々。
未婚やひとり暮らしが増加しているこの列島では、
そのうち家の形も姿を変え、ヤドカリのように小さなセル=個室を背負って
生きるようになるかも知れません。
その頃には、軽くて薄いのに人体を守るタフさを備えた、快適なセルができていそう。
フード部分が一瞬で広がってワンタッチテントになるような服かも。
これが本当のホームウェアでしょうか。

*画像は「日本の家展」に出品されていたときの「FINAl HOME」と収納袋です。

アフター5のシンプル&効果的なコーデ

最近、何回見に行っても長蛇の列で、ついココロ折れてしまうのが
上野の森美術館で開催中の「怖い絵」展です。
公式HPでの解説によれば、
「視覚的な怖さだけでなく、隠された背景を知ることで判明する恐怖まで、
『恐怖』をテーマに約80点の西洋絵画・版画を展示。
●「この絵はなぜ怖い?」その怖さを読み解くヒントとともに絵画を鑑賞!
●ターナー、モロー、セザンヌなど、ヨーロッパ近代絵画の巨匠による”怖い”作品もセレクト!
本展最大の注目作は、ポール・ドラローシュの大作《レディ・ジェーン・グレイの処刑》」とのこと。
そうしたシーンが西洋絵画ならではのリアルなタッチで描かれた作品のオンパレードで、
怖いもの見たさの人が私も含めどれだけ多いことか。
開催直後に行ったときは1時間待ちで、行列が苦手の私はそく挫折。
同じように観たかった「マジカルアジア展(国立博物館東洋館で開催)」に行ってしまいました。
次に「怖い絵展」にトライしたときはなんと3時間半待ちに膨れ上がっていました。
行列は公園の端の方まで伸び、木立に隠れて最後尾が見えないほど。
当然この日も挫折し、国立科学博物館で開催の「古代アンデス文明展」に。
おかげでアジアやインカの人たちの死生観をたらふく観るはめになりました。
どちらもミイラの展示が含まれ、古代の人たちにとって、
死は最大のイベントだったのだと再認識しました。
アジアでは人の死後は、グレードが上がったり神になったりすると考えられ、
インカでは人の死後はミイラになってそのまま生き続けると考えられていたとか。
家族のようにいっしょに生活し、服を着替えさせたりご飯をあげたりしていたのだそう。
怖い絵展よりずっと怖い展示物がありましたが、
いずれにしろ、古代の人達にとって死は現代よりずっと謎で、
恐れるあまり生は別の次元を生きること、と信じるよりなかったのでは?
と思いましたが、死のメカニズムが解明された現代でも、
人は大切な人の死を受け入れがたく、
いつも心に生きていると思う人が多いのでは?
何百年経っても、人の気持ちのはさほど変わっていないような……。

どちらの展覧会も「怖い絵」展の挫折組と見られる人たちで混雑していたのですが、
いずれにしろ上野は美術・博物館が集結しているので、
どこかで何かが見られる、ありがたいところです。
上野公園内は最近特設のイベント会場が作られていたり、
カフェが増えたり、数年前と比べるとプレイスポットとして飛躍的に進化しています。

そんなわけでいまだに「怖い絵」展を観られていません。
きっと、観ないうちに終わってしまうんだろうなあ、と予想しています。

最近、週末の金土は夜の8時頃まで開館している美術館が増えたのもありがたいことです。
昔は国立などの公的な施設は4時半に入館締め切りなんてザラでした。
会社勤めしている人は日曜日の昼間しか観に行けなかったのです。
5時や6時に仕事を終えてから美術館や博物館に行って、
2〜3時間楽しめるという、いい時代になってきました。

舞台も、7時開演というのが増えているので、
これまた仕事終わりに行けるようになっています。
演劇のメッカであるロンドンなどでは、8時開演という舞台も珍しくありません。
歌舞伎のように4時間くらいある舞台をほぼ一日かけて楽しむというのも
ココロ惹かれますが、そうそうできないリッチな遊びです。
やはり、週末の仕事終わりなどに、
気軽に展覧会や演劇、ライブが楽しみたい。
気分転換にもおおいに役立ちそうです。

そんなとき、気になるのがアフター5のスタイリング。
スーツで行っても別におかしくないし、
それなりにスタイリッシュなスーツも色々あるし、
というのも事実ですが、
「今夜は若い観客の多い舞台やライブだし、
ここはちょっとした変化が欲しい、
でもオフィスから直行で着替える時間がない」、という場合は?

●ネクタイを変える、またはタイを取ってスカーフにする

スカーフは夏場はコットン、冬は薄手のカシミアやパシュミナなどでカラフルなものを。
長さのあるものをクルクル巻くことで、スーツ姿でもビジネス感のない洒落っ気が出ます。

●チーフを遊び心あるものに変える

粋な大柄水玉や、トレンドの写実的な花模様など、普段より少し派手なタイプに変えてみては?
これならポケットから取り出してすぐチェンジできそうです。

●ジャケットを変える。
ちょっと光沢のある素材のもの、あるいはストライプ、思い切って最近のトレンドのミリタリー調?
パンツやシャツなどはそのままで、ジャケットを着替えるだけでいきなりスタイリッシュに。
あるいはジャケットを脱いでこれまたトレンドのカラフルなカーディガンに変えてもいいですね。

●タイピンやカフス、ラペルピンで遊ぶ

舞台やライブにちなんだモチーフのものにしてみるなど、
これまた気がつく人は気がつくおしゃれ。
アクセントやスパイス的なものにこだわって選ぶと、
スタイリングの仕上がりに奥行きをもたらしてくれます。

●スーツもコートもそのままで、靴下だけ思い切り派手にする
グレー系のスーツにネイビーやキャメルのコート、ローファーやウイングチップといった、
ベーシックでビジネステイストなコーディネートに、
花柄やダークなラメ使いのペイズリーなどの靴下をあわせる、
などという、気がつく人は気がつくというスタイリングは、
案外、遊び気分を盛り上げてくれるものです。

時間のないところで効果を生むシンプルコーデのテクニックは、
そんなところでしょうか?
ちなみに、観劇やライブ時は重くてかさばるコートは邪魔になるので、
そんなときのために軽目のダウンコートなどを持っていると便利です。
軽めのダウンなら無理矢理でも畳んでバッグにねじこめば収納できます。

などと、アフター5は、限られた条件下でファッションをアレコレ考えることになり、
そこにまた楽しみが加わるのではないでしょうか。

そういえば本屋さんで「これを読めばもう着るものに悩まなくていい」
というようなタイトルの本を見て、違和感を感じました。
着るものに悩む楽しみって、着ることの楽しみと同意語じゃないんでしょうか?
その楽しみを奪わないで欲しい、と思ってしまいました。
おおいに悩んで楽しんで、自分的コーデの達人になりましょう。

*写真は、上野の国立博物館資料館の夜景と、上野の森美術館横に掲示された「怖い絵」展の看板。

リノベやDIYで、スタイリッシュな空間を実現


首都圏はいきなり寒いです。
11月でこの寒さは36年ぶりなのだとか。
最近そういう、何十年ぶりの猛暑とか豪雨とか低気温とか多いですよね。
かつて異常であった現象が、通常になってきている、
私たちはその変化への急速な対応を強いられているわけですが、
なかなかうまく行きません。
昨日までずっと暑ければ、「今日は急に寒いですよ」と言われても
気持ちがまずついて行けない。
気持ちも体も、今仕様にリフォームしていかなければならないわけですよね。

リフォームやリノベーションといえば、
最近は「リノベ」と省略化された程、家の改装がトレンドです。
新築を購入するにはお金がかかるし、
そこで中古の手頃なマンションや一戸建てを購入してリノベする。
あるいは古い自宅や親族から譲り受けた家をリノベする。
全面的に施工会社に頼む人や、
基本的な部分を大工さんや専門家に頼んで、
あとはDIYで自分で直す人と、方法もさまざまです。

ファッションやデザイン業界ではレトロスタイルが定着していることもあり、
自分の住空間もアメリカンやヨーロピアン、
シックスティーズや昭和テイストにしてみたり、
1940〜50年代のニューヨークスタイルにしてみたり。
テレビのコマーシャルやドラマ内で表現されるインテリアも、
レトロな空間が目立ちます。
ファッションのジャンルが多様化している今、
住空間の好みも多様化していて、
最先端を好む人から、過去へのノスタルジー派までさまざま。
その一方、北欧モダンを取り入れたシンプルスタイルの住宅は、
グローバルスタンダードと化しているようで、
海外のニュースに出てくる家並を見ると、最近建てられたとおぼしきものは、
世界的にみんなとても似通っています。
ファッションに続き、家のデザインも地球規模で共通化しているのが、
興味深い現象です。
東京郊外の街を歩いていると、
古き佳き農家の庭に、母屋とは国籍が違うのかというような
白を基調とした北欧モダンの家が建っていたりして、
ウッドデッキのテラスにモダンなファニチャーが置かれていて、
庭の片隅の納屋には放置された農具がそのまま、という、
ひとつの庭に年代や様式の異なる世界が共存していて、
住宅博覧会のような楽しい景色に出会うことがあります。
家好きにとって東京郊外の町は、
ニッポンの住宅事情・過去と未来が現物展示で見られる宝庫です。

そんな中、空間保存された昭和中期に出会える場所が団地。
1950年代から、若き労働人口を受け入れるため
続々建てられた集団住宅地です。
当時はモダンなライフスタイルを提案するスペースでもあったため、
最近のレトロブームで再注目されているところではありますが、
少し前からはその団地のリフォームに、
IKEAやMUJI、IDEEと言った、国内外のインテリアショップが参入したり、
著名な建築デザイナーが大幅なリノベーションを手がけて、
インテリアにこだわる若い層を取り込む動きが見られるようになりました。
そうした部屋では、普段からよく利用しているブランドの
世界観そのままの空間に住めるという次第。

これまでは、そうした業務はインテリアの会社の専売特許のようでしたが、
最近はアパレルブランドからの住空間への参入もチラホラ。
ユナイテッドアローズやジャーナルスタンダードなどが、
それぞれのショップのこだわりのインテリアを導入したリノベ空間を、
提案しています。
都内の優良中古物件はそれだけでも高いので、
アパレル産業がリノベを手掛けるとなると、
それなりの値段になりそうですが、
超スタイリッシュな空間をオーダーメイドでリノベするよりは、
時間的にもコスト的にもリーズナブルということかも知れません。

衣食足りて礼節を知るということばがあります。
「物質的に不自由がなくなって、はじめて礼儀に心を向ける余裕ができてくる」、
ということのようです。
そこからいえば、衣食足りて住を知る、といえまいか?
ファッション、グルメ、そしてインテリア。
セルフリノベのブームも、それを物語っています。

ところで、IKEAは昨年、本国でのキャンペーンで
「悩みを検索するとそれに合う家具が表示される」という画期的な方式を展開。
たとえば「彼が愛していると言ってくれない」という悩みを検索すると、
同じ商品名のIKEAの商品がヒットするという具合。
ちなみにその悩みへのアドバイスは「黒板」でした。
「娘が服を脱ぎ散らかす」という悩みへのアドバイスは、
高い背もたれに横棒が3本も付いていて、タオルや服がかけられる「椅子」。
つまり、多くの人たちが検索するお悩みを商品名にしてしまったわけです。
残念ながら日本のIKEAではそのキャンペーンはされていませんが。
家具や雑貨など、暮らしのものをひとつ変えたり新しくすると
気分も一新されもの。
インテリアは服と同じように、気持ちや呼吸に密着したものといえそうです。

*写真は、東京近代美術館で10月まで開催されていた「日本の家 1945年以降の建築と暮らし」展の出品作のひとつ。
スキップフロアの多様で、狭小地でも空間が確保できるという提案。

トーマスメイソンの生地で、オーダー シャツ体験!!

朝晩、めっきり肌寒くなってきました。
冬のスタイリングの準備はお済みでしょうか?
カジュアルはもういくつか新作を確保したけれど、
ビジネスシーン用は迷っているという人もいるのでは?
そんな方におすすめなのが、11月21日からはじまる
土井縫工所の「トーマスメイソンフェア」です。

ご存知かと思いますが、トーマスメイソンは英国を代表する高級生地のメーカー。
その歴史は古く、創業はなんと産業革命さなかの1796年といいます。
多分世界で最も古く、また高級シャツ生地の商標としては、
おそらく世界で最も有名な存在といえるでしょう。

トーマスメイソンの創業当時の英国では、
生地はまだ各家庭や小さな店で手作業で織られていたのですが、
繊維業界で名の通る起業家だったトーマスメイソンが、
繊維の機械を揃えた工場をランカシャーに設立。
西インド諸島から綿花を輸入してシャツ用の生地を作りはじめたのです。
最高品質のシャツ生地はテイラーで高級シャツに仕立てられ、
最初は英国の貴族階級や富裕な上流階級の紳士たちに重用され、
次第に世界各地に輸出されていきました。
産業革命で経済発展を遂げたビクトリア期の英国は最盛期を迎え、
それにともないトーマスメイソン社も大発展し、
エレガントなメンズファッションを目指す際には、
同社のシャツ生地が基準になりました。
つまり、ロンドンのメンズファッションは世界の基準となっていて、
とくにジャーメイン・ストリートにあったトーマスメイソンのショップは
世界中のダンディーが注目し、目標とする「シャツの首都」でした。
やがて英国はビクトリア女王からエドワード5世へ、
そしてエドワード8世の時代へと移ります。
エドワード8世はかの有名な「王冠をかけた恋」で知られる王様。
国王でありながら平民のアメリカ人でしかも人妻のシンプソン夫人を恋人にし、
彼女を離婚させて王妃にするべく全力を尽くしていたものの叶わず、
即位後1年足らずで王の座を投げ捨て、
恋人との人生を選んだ情熱的な男性でした。
このエドワード8世、別名ウインザー公爵はイケメンのダンディーで、
趣味も恋も多いという魅力的な男性で「Prince Charming」と呼ばれていたとか。
その彼が、トーマスメイソンのシャツを愛用していたこともあって、
以来、王室御用達の生地メーカーとなり、二つの戦争を経ても、
英国を代表する生地メーカーとしての価値がゆるぐことはありませんでした。

1992年、トーマスメイソンはイタリアのアルビ二社の傘下に入りましたが、
2世紀の長い歴史と、伝統的で比類のない700ものファブリックデザインの
コレクションはそのまま。
それら歴史的なアーカイブのコレクションを生かしたファブリックは、
今も依然として、英国スタイルを愛する人々の基準となっています。

トーマスメイソンのコレクションはおもにSilver Line とGold Line の2 つ。
1992 年に発表されたSilver Line は、
高品質なエジプト産超長綿の双糸をベースに英国伝統の製法で作られ、
光沢と柔らかさに優れています。
Gold Line は1996 年、創業200年を記念し、
最高品質である極細の140 番手双糸を使ったラインとして誕生。
原綿は最高品質のGiza 45 とGiza 87 のみを採用しています。
GIZA 45は、ナイルデルタの東側という限られた地域で栽培され、
非常に長く細い繊維を持つ最高級のエジプト産超長綿です。
GIZA 87は、まばゆいほどの光沢とシルキーな肌触りに優れた超長綿で、
長年の着用や洗濯後もその風合や輝きはそのまま。
それらが失われることはないのです。

一度、トーマスメイソンの生地を仕立てたドレスシャツを身につけると、
原綿の品質のよさと代々受け継がれてきたクラフトマンシップが感じられ、
最高級のモノに包まれる豊かな気持ちを味わうことができます。
そして、その気持がずっと続く(品質が変わらない)ことが、
本当に高級なモノの底力なのだと実感させられます。

ところで、じゃあ、どのアイテムにすればいいの?とお迷いのあなたにヒントを。

【ドレスシャツをオーダーするときに押さえたいポイント】

① タイドアップを前提で考えれば、ネックサイズはマスト!
  首周りがスカスカ、またはキッツキツは避けたい。よく測ってね。

② 重要なのは「肩」!

肩さえしっかり合っていれば、バストやウエスト部分の運動量がちょっとくらい多くても、
見た目のスマートさは損なわれません。
逆に肩が落ちていると、一気にサイズが合っていないように見え、
入りすぎていると窮屈そうに見えます。
どちらも「合ってないシャツ着てるなあ」感を周囲に与えてしまいそう。

③ 続いてカンジンなのが、「裄丈」

長すぎたり短すぎたりはNG!(とくに短すぎは最もNG!)。これもちゃんと測ってね。

④ 次に重要なのが「カフス廻り」
袖口でフィットさせることを考えると、長すぎれば袖周りがもたつき、短かすぎれば腕を動かす際に運動量が確保されない。そのため突っ張った感じになって動きにくい。
上記の理由から土井縫工所では、エントリーラインから裄丈、カフス廻りが選べるようになっている親切システムなのでご安心を!!

(ただし、MTMやオーダー会などではボディ全体を調整することを前提としているためチェストが起点です)。

⑤スーツスタイルに合わせるには?

黄金比としては
・ラペルのゴージラインにシャツの衿の角度を合わせる
・ラペル巾とネクタイ巾を合わせる
これだけで見え方がだいぶ変わってきます!

⑥コーディネートとしては?

スーツが無地で落ち着いた色目の場合、シャツは色物、柄系
スーツが柄物の場合、シャツはシンプルに無地。
スーツの色柄と、逆を押さえればまずまちがいなし!
ネクタイはスーツ、シャツ、ベルト、靴などの小物どれかの色目に合わせると、
全体のトーンバランスが取りやすくなります。

以上、土井縫工所の清本 隆さんのアドバイスでした。

トーマスメイソンの底力や魅力を活かした仕立てで生まれる
土井縫工所のドレスシャツで、
この冬、自分史上ベストな英国式ダンディーを演出してみては?

*追記

「トーマスメイソンフェア」

2017/11/21(火)〜12/10(日)
土井縫工所
カスタムオーダー ¥16,000〜
MTM  ¥19,000

フェア開催中にご注文いただいたお客さまに、Thomas Mason 特製ノートをプレゼントいたします。
数量限定でなくなり次第終了いたしますので、ご注文はお早めに!
また、フェアの期間にご注文いただいたドレスシャツには、
Thomas Masonの刻印のある特製ボタンをお付けいたします。
この機会をお見逃しなく!!

トップ画像は、”Trade Mark & Store Design” Lupetti より。

日本で熟したアイビー・ルックと初冬のぬくもり

秋を通り越して、初冬のような気候です。
慌ててちょっと厚めのジャケットやコートを引っ張り出している方も多いのでは?
先日会った友人は極薄のダウンを着込んでいました。

そんな今日このごろ。
日本在住のアメリカ人ジャーナリストが書いた、
とってもおもしろい日本ファッション史の本に出会いました。
「AMETORA」(デーヴィッド・マークス 著 奥田祐士 訳 DU BOOKS)。
著者は、ハーバード大学で東洋学を学んでいたものの、
来日するまでは「アメリカ人が世界で一番クール」と思っていたそうです。
クールとは「カッコいい」とかそんな意味です。
ところが、日本に来てまわりを見渡せば、ワカモノたちはみんなオシャレ。
アメリカンよりジャパニーズの方が全然クールじゃん!
というわけでカルチャーショックを受け、
日本のファッションについて調べ出し、卒論まで書いてしまったそうです。

日本の青少年たちのファッションの夜明けは、
前回の東京オリンピック直前の頃。
戦後の日本が見事に復興を遂げ、先進国の仲間入りも間近!
という姿を世界に見せるために、なんとかしてこれを成功に導くため、
官民一丸となって全力をそそいでいた矢先。
銀座のみゆき通りにヘンテコな格好の若者が数百人も集まって、
たむろしているという事態が勃発しました。
襟にボタンのついたワイシャツを着て、
(当時、ボタンダウンはまだ一般に普及していませんでした)
ツンツルテンのズボンを履き、
中にはスネまでの丈のズボンを履いた者もいる。
若者たちは週末になるとみゆき通りに集まり、何をするでもなくたむろしている。
当時のおじさんたちに理解できなかったファッションは
『アイビー・ルック』というものでした。
そこでオリンピックに向けてヘンテコなワカモノたちを排除するため、
私服警官たちが彼らを大量に検挙して一掃したといいます。
少なくともオリンピックが終了するまでは、
みゆき族もおとなしくしていたようです。
あれから50年余り。
オリンピックの閉会式に首相がサブカルのシンボルであるマリオになって登場する。
今やサブカルは日本を代表するビジネスのひとつであり、
クールジャパンの担い手です。
今ならみゆき族も街から一掃されることなく、
ダイバーシティ、日本のシンボルのひとつとして
積極的に活用されていたでしょうに。
時の流れを感じさせます。
日本も世界も年を重ねて熟して来たといえます。

アイビー・ルックの故郷はご存知のようにアメリカです。
1954年、ハーバード大学をはじめとした8校でフットボール連盟が結成され、
各校が蔦(アイビー)をシンボルにしていたことから、
アイビーリーグと名付けられ、大学生たちのキャンパスファッションが、
アイビー・ルックと呼ばれるようになりました。
日本では1964年に創刊された平凡パンチが、
「アイビー・ルック」の特集記事を組んだのがブームの発端といわれています。
ボタンダウンのシャツに三つボタンのジャケット、細身のコットンパンツ、
ローファーを履いて、しわしわの紙袋を脇に抱える。
当時、アイビールックを世に広めた「VAN」のアイテムを着るのが、
みゆき通りに集まるワカモノたちのステイタスでした。
そのロゴを冠した紙袋を脇に抱えて持つという点を見ても、
紙袋さえカッコいいものに変身してしまうという、
当時のワカモノたちの憧れの強さがうかがい知れます。
当時の大人たちにヘンテコ扱いされたアイビー・ルックも、
今やメンズファッションの正統派です。

そもそも、この、ジャケットとボタンダウンシャツをベースにした、
アメリカの大学生ファッションである『アイビールック』を日本に紹介し、
当時のワカモノのファッションに革命をもたらしたのが、
ヴァン ヂャケット、VANの社長だった石津謙介(1911-2005)でした。
岡山の裕福な家に生まれ、確かな審美眼と天性の鋭い感覚に恵まれていた石津さんは、
第二次大戦後、米国東海岸の名門大学を卒業したアメリカ人兵士の通訳を担当し、
伝統的な大学生ファッションの魅力やスタイルを学んだといいます。
1950年代半ばにヴァンヂャケットを設立。
VANを通してもたらされるファッションアイテムは、
昭和30年代のワカモノたちの心を鷲掴みにしました。
戦後の混乱がようやく収まって、高度経済成長期にさしかかり、
これから新しい世界がはじまるんだという期待に満ちていたワカモノたちに取って、
VANをはじめとしたブランドのアイビールックはまさに新しい世代のシンボルであり、
ワカモノたちしか手に入れられない最強のファッション的武器であったはず。
それゆえ石津謙介は一人のデザイナーでアパレルブランドの社長であるというより、
日本のメンズファッションに革命をもたらした、
ファッションの神様といわれている存在になったのです。

“1965年には、長男の石津祥介、くろすとしゆき、長谷川元、林田昭慶の
4名で著したファッション誌「TAKE IVY」は、時を経て欧米のファッション関係者の間で
注目されるようになり、2010年にアメリカ合衆国において、アシェット婦人画報社から
英語版が出版され、翌2011年にはオランダ語版と韓国語版が出版された。
ニューヨーク・タイムズは2009年6月17日付の記事で「TAKE IVY」を紹介し、
” a treasure of fashion insiders “「ファッション関係者の宝」と評している”
(出典:wikipedia)

つまり、かつて日本に輸入されたアイビー・ルックは、
いつしか本国でもお手本とするべき規範がくずれてしまって、
今や、日本発の「TAKE IVY」をはじめとしたアイビー・ルックの解釈やスタイルが、
本国でお手本にされているというわけなのです。
昔ロンドンで、タキシードの際のリボンタイの結び方を、
その場にいたイギリス人の6〜7人の男の子たちは誰も知らなくて、
日本人の超おしゃれな男の子が指導していたことがありましたが、
やっぱり日本はあなどれないファッション先進国なのかも。

ところで、その本の中では、その後、ヒッピースタイルも含めて、
日本の若い男子のメンズファッションは、
常にアメリカ文化から影響を受けていたと著者はいいます。
一方、女子は確かに、常にパリやらロンドン、ミラノと言った、
ヨーロピアンスタイルを取り入れてきました。
そうして、アメリカ産のシャツやジーンズを模倣していた日本はそれを極め、
不朽の名作ジーンズ、リーバイス501のステッチの数さえ正確に数えて、
すべて本物そっくりに仕上げているうちに、
ついに日本人は、仕上がりもクオリティも追い越してしまった、
今や岡山を中心とした縫製工場で生産されるジーンズやデニム地は、
世界一だと著者は書いています。

ジーンズやデニムをはじめ、気づけば日本のファッションは世界をリードしていて、
世界中のクリエーターやファッションモンスターが注目しています。

いつ頃から、日本がファッションリーダーのひとりになったのでしょう?
はじめて訪れた70年代初期のロンドンでは、何も感じませんでした。
とはいえ、ブレイク直後のデビッドボウイの伝説のコンサートで彼は、
山本寛斎のポップ&近未来的歌舞伎イメージの衣装を採用していて、
それが、宇宙から来たロックミュージシャンというストーリーで展開していたボウイに
すごく似合っていました。とはいえ、パントマイムを取り入れたシアトリカルな表現を
用いるボウイだから、カンサイを選んだのであって、
まだ、一般的なロックミュージシャンや若い世代が、
日本のデザイナーやファッションをリスペクトしたり注目したりという
時代ではなかったと思います。
風が変わってきたのは80年代に入った頃。
ロンドンで出会う若い子達はほぼ全員、
日本のファッションやサブカルに興味を抱いていました。
みんながトーキョーに行きたがっていて、
遠路はるばるロンドンまでやってきている者にとっては、
へー、そーなの?みたいな複雑な気分。
なので帰国時には、過去2回訪れたロンドンから帰国する際には抱いたことのない
「トーキョーかあ、楽しみ!」という思いまで抱いたほどです。
その後はロンドンの友達から「子どもがドラゴンボールにはまったので、
なんでもいいからグッズを送ってくれない?」と頼まれたり。
かつて、日本と欧米の関係は、こっちから見ると近いけど、
向こうから見ると遠い、みたいな面があったと思います。
最近は同じくらいの距離になって来たような。
そして、熱心で緻密な調査と知的な考察で書かれたこの本を読んで改めて思ったことは、
「知ることは近づくこと」であるということ。
日本がリーバイス501を徹底的に研究して熟知し、近づき、やがて肩を並べたように、
何かにこだわって知り尽くすことは、進歩への大事なステップですよね。

かくして、VANがもたらした国産メンズファッションのポリシーと気骨は、
今も土井縫工所はじめ、国内の心あるブランドに根を張っています。

そんな土井縫工所には世界をリードするデニム地と世界に名だたる生産地となった、
岡山の縫製工場で産まれるデニムシャツのシリーズがあります。
起毛素材のアイテムは、初冬に嬉しい・優しいぬくもりで、
袖を通したとたん、身も心もおしゃれに暖めてくれますよ。

*追記

日本のワカモノたちがアイビーをはじめアメリカのファッションを取り入れ始めたのは、戦後のこと。
それまでの日本の洋装の歴史は、文明開化以降、フランスや英国といったヨーロッパのスタイルを取りれて発達してきました。1964年からはじまったアイビールックはその後アメリカンカジュアルとして日本市場に定着。メンズファッションの一部先端がアメリカンテイストからより英国やイタリアを意識しはじめたのは、1970年代頃からだったかも知れません。さらに、ヨーロピアンテイストで解釈したアメリカンカジュアルも、イマドキの失敗しないコーディネートのひとつです。

 

 

秋冬のおすすめ、フランネルシャツ!1枚でもジャケットインナーにも使える!

台風が多いせいか、9月に入っても蒸し暑い日が続いていましたが、
ふと気づけば朝晩は空気もひんやり。
寝る時はあったかい毛布が欲しいし
昼間は肌に優しい起毛素材が恋しい!という季節です。

こんなときにおすすめなのがフランネルを使ったドレスシャツ。

「フランネルとは、柔らかくて軽い毛織物のことで、略してネルともいう。
衣類、シーツと寝巻きに一般的に用いられる。
経糸(たていと)と緯糸(よこいと)を交互に織る平織りや
2〜3本おきに交互に織られる綾織りがある。
無地だけでなく、様々な模様が施される」。
(wikipediaより)

とうわけで、ネルシャツというと、ちょっとアメリカンでラフなイメージ。
が、フランネルと言われたとたん、いきなりヨーロピアンな風が吹いてくるよな
ハイグレードでドレッシーなイメージに変身。

土井縫工所では10月の幕開けを、このフランネル素材を使った
上質なドレスシャツのフェアでスタートします。
「Life style casual for fall and winter」と銘打ち、
これからの季節に備えたカジュアルスタイルにおすすめな、
ドレスシャツを取り揃えて提案します。

土井縫工所の使用しているフランネルは、
繊細な起毛がソフトに立ち、優しく肌に触れて、
抜群の手触りと着心地をもたらしてくれます。
また製品はいつもながら、これ1枚でもスタイリッシュな印象に仕上げられる
クオリティがありつつ、ジャケットのインナーとしてもスマートに収まってくれる。
この時期の気温差にも対応してくれる素材なので、
秋口のコーディネートにはすこぶる役立つドレスシャツです。

●気になるスタイリングのポイントは?

「あくまで『普通に』コーディネートに取り入れて頂ければと思います」
というのが、土井縫工所の清本さんのアドバイス。
まずは、同じく土井縫工所の土井さんのコーディネートスタイル。
一般的なオフィス向けスタイリングとしてぜひ参考に。
タイドアップでもきっちり決まるし、トレンドのネッカチーフを巻いてみたりすると、
より季節感と素材感が強調されてコーディネートの広がりが楽しめるとのこと。

「パンツの色をシャツの色と対比させると、コーディネートを完成させやすくなります。
たとえばネイビーのドレスシャツにチャコールグレーのスラックス、
ブラウンタイの組み合わせと言ったスタイリングもおすすめです」

● 一方、柄物のドレスシャツのスタイリングに関しては?
「素材感は申し分ないのですが、
色や柄のあるものは、コーディネートを考え過ぎてしまうと迷路にはまってしまうと思います。
実際にシンプルに着てみると、案外普通に使える!!というのが正直な感想です。
柄物のフランネルは素材の個性が強いので対比色でコーディネートすると落ち着きます。
写真のドレスシャツはトレンドでもあるオープンカラーなのでより個性が際立ちますが、
通常のカラーであればコーディネートもしやすくなります。
スーツに合わせるのが少し難しいという場合は、
ジャケットとパンツスタイルでのコーディネートだと着やすいと思いますので、
そちらを提案したいですね」

先日、北海道の黒岳では初雪が観測されました。
冬の足音がもうそろそろ、少しずつ聴こえ始める頃です。
肌寒くなる前にソフト&暖かいフランネルのドレスシャツで
秋冬の準備をはじめたいところです。