夏はリネンで涼しくスタイリッシュに

梅雨がはじまったようです。
四国から関東にかけて広い範囲での梅雨入りと聞きました。
雨が降ると外出時の荷物を増やしたくないと思ったり、
それなりに不便なこともありますが、
それなりに楽しいこともあります。
お気に入りの傘をさす、新しいレインブーツを買った、
ポンチョをゲットした、などなど。
というマテリアリスティックな喜びに加え、
雨に濡れて艶々と輝く木々や花々を見るのも楽しいし、
かたつむりを発見できるのもこの時期の楽しみのひとつです。

という梅雨時ですが、着るものに迷うことは確かです。
外気は肌寒いのに室内はムシムシ。
そんな条件をクリアして快適な着心地をもたらしてくれるのが、
昔から重宝されている素材、リネンです。

私が中学生の頃、遠縁のおじさんがあるとき、母と私を銀座に誘ってくれました。
おじさんは仕事の関係で海外生活が長かったせいか、
とってもおしゃれな人でした。
待ち合わせの駅に現れたおじさんのいでたちは、
生成りの麻のスーツに白い麻のシャツ、パナマ帽に茶色のメッシュの靴、
という紳士っぷりでした。
そのときは私のリクエストで「欲望」という映画を見ました。
1960年代中期のロンドンを舞台に、
スゥインギングロンドンと呼ばれた時代のファッションや広告業界、音楽を
一人のカメラマンに起こった不思議なできごととして描いた作品です。
監督はイタリアの鬼才、ミケランジェロ・アントニオーニ。
小学生の頃から洋画と洋楽ファンだった私がぜひ見たかった映画でした。
ライブシーンに登場するロックバンド、ヤードバーズが見られたのも興奮だったし、
行きたかったロンドンの街を大画面で見られたというだけで楽しめたのですが、
でも、当時の普通の日本人の大人には、
描かれている内容も演出も難解だわ縁遠いわ、で、
多分母なんかはずっと寝ていたんじゃないかと今になって思います。
映画を見たあと、レストランで食事をしていたら、
おじさんは「まあ、変わった映画だったね」と言いながらも、
色々解説してくれました。
「2人の男が犬の散歩をさせていたでしょう、あれは同性愛の人たちだね」などなど。
おじさんは偏見があるわけではなく、そういう人を通行人として登場させることで、
あの街の状況や背景を描いていると解説してくれたのです。
海外生活の中でもロンドンが一番長かったというおじさん。
コックニーというロンドン訛の発音があることも、
そのときはじめておじさんから聞いたのでした。
中学生の私はハンバーグをモグモグ、なおかつ目を丸くしながら、
おじさんの話に聞き入っていたものです。
そうそう、映画を見る前に、おじさんは私たちを靴屋に連れていきました。
私は精一杯おしゃれをしていたのですが、靴はスニーカーでした。
「銀座で映画を見て食事するのだから、もう少しエレガントな靴にしましょう」
と言われて、そのとき私が選んだのはコバルトグリーンのスエードの、
メリージェーン型の靴。ほんの少しヒールが高いもの。
おしゃれには靴がカンジン!というのもそのとき悟ったことでした。
そんな風に英国仕込みのおじさんはいつ会ってもダンディな紳士で、
「話してるとイケメンに見えてくるのよねえ」というのが親戚の女性軍団の評価。
そう、おじさんはちょっとだけ残念な風貌をしていたのです。
でも、親戚の女性たちにもモテモテで、
粋さは身を助けるとつくづく思います。
初夏になるとおじさんのダンディな麻のスーツと麻のシャツ、
銀座の日差しに映えたパナマ帽を、いまだに思い出す私です。

さてさて、夏を涼しげにスタイリッシュに、という場合は、
土井縫工所のリネンシャツをおすすめします。
素材は高級リネンの代名詞として名高いハードマンズリネン。
通常リネンというと、「麻」を使っていると思われがちですが、
ハードマンズリネンの素材は亜麻科のフラックスで、麻とは異なる植物。
麻よりも柔らかくて丈夫、しかも高級な繊維なのです。
そんな上質な亜麻を使って、長い歴史のうちに継承されてきた、
伝統的なアイリッシュリネンの紡績技術で作られた生地がハードマンズリネンです。
生地の特徴は吸湿性・速乾性・通気性に優れていること。
高温多湿な日本の夏には最適な素材であることは間違いなし!
上質なリネン生地が持つ、特有のネップや節などの風合が、
シャツに表情の変化や色気を与えてくれます。
また、リネン素材は縫製の施し方によって、
カジュアル味の強いシャツになりがちですが、
土井縫工所ではほかのドレスシャツと同じ縫製で仕立てているので、
どこから見ても優雅で上質なシャツの顔をしています。
ジャケットのインナーとしても品格を添え、タイを締めても上品なVゾーンに。
カラーバリエーションも白、サックス、ピンク、ネイビー、ブラック、カーキと
豊富に揃っているので選びやすいのですが、
それぞれの色が独自の魅力を備えているので迷うことは確か。
2〜3色揃えておくと、色のちがいで気分やスタイリングも
異なる雰囲気で楽しめそうです。
蒸し暑い初夏から暑い夏へ。
今年はリネンの優雅な風情を身にまとって乗り切ってください。

ラグジュアリーな才能

この春、銀座に華々しくオープンしたGINZA SIX。
銀座エリア最大の商業施設という点と、
世界のラグジュアリーブランドが勢ぞろいという点がセールスポイントです。
コンセプトは早くいえば「最高の暮らし」なのだそうで、
館内にはショップやレストランはじめ、能楽堂まで備わっています。
この建物は吹き抜けになったホールが特徴で、
見上げるとグラスとシャンパン色の素材との組み合わせによる階層が、
ゴージャスな別世界観をもたらしています。
インテリアを担当したのはグエナエル・ニコラさんというフランス人の
インテリアデザイナー。
フレンチブランドの日本のショップなどのインテリアを数多く手がけている方です。
ニコラさんをご自宅で取材させていただいたことがあるのですが、
建物の壁面がガラス張りで驚きました。
どの部屋も床から天井までガラス張り!
しかも近隣は森の中とか断崖絶壁とかいうのではなく、
高級住宅街の一角とはいえ、目が合う距離でお隣さんに囲まれています。
しかも建物の前の道路を歩く人からも一目瞭然。
もちろん、バスルームや寝室などはブラインドがありますが、
昼間はほとんど開けています。
「道路やご近所から丸見えでも気になりませんか?」とお聞きすると、
「見られたら困るようなことはしていないので」とおっしゃいます。
さらに「いつ誰に見られても構わないように、
生活のスタイルをキープするようになります」とも。
家の中での暮らしぶりなんて、
いつ誰に見られても恥ずかしいという私にとっては、
まさに目からウロコな思想でした。
2階建ての建物には階段がなく、長いスロープで一階と二階を昇り降りする設計。
小さいお子さんが遊ぶのにはぴったりです。
お子さんといえば、その日はちょうど一人のお嬢さんの誕生日で、
ホームパーティーに呼ばれたお友達が親に連れられて続々やって来ました。
日本で暮らすフランス人の方々が子供を送って来るのですが、
全員パパなので、これまたびっくり。
日本ならママが送って来て、ママ友会も同時に開催、的な催しになるのですが、
そこではパパ友交流会が開催されていました。
海外の子育て事情を垣間見た思いがしました。

さて、話がずれてしまいましたが、
GINZA SIX の吹き抜けを彩る大きなオブジェは、
水玉模様が施された巨大なカボチャ。
ポップでダイナミックなフォルムが目を惹きます。
これはルイ・ヴィトンやコムデギャルソンといった
世界的なブランドとのコラボで一気に認知度が広がった、
日本を代表するアーティスト、草間彌生の作品です。
水玉もカボチャも草間彌生の代表作で、
まさに日本の新しい商業施設にふさわしい説得力があります。

先日、その草間彌生の「わが永遠の魂」展に行って来ました。
草間彌生史上初という大掛かりな展覧会で、会場の新国立美術館は
入館にサルバドール・ダリ展越えの55分待ち。
とにかく大人気なのですが、若い人に人気なのかと思いきや、
隣でやっているミッシャ展と間違えて入って来たのかと思えるような
マダムな奥様方も多かったのでまたびっくり。
さらに、ベビーカーを押しながら鑑賞するママ・パパも多いのにこれまたびっくり。

そんな草間彌生の作品展を見るたびに思うのは、
全く迷いがない!!ということです。
考える余裕なんてないとばかりに、
内から溢れ出る・ほとばしる衝動を、
絵筆からキャンバスへと流し込んでいるがごとくのスピード感と迫力。
それを見るたびに、ガツンと背中を押されているような感覚を覚えます。
ものを作るうえでの苦労とか迷いとか、もうやってらんないわあ的な思いとか、
そういうものを全部まとめてガツンとやられている感じ。
オラオラ、ガタガタ言ってないでやるやる!!みたいな。
草間先生!!ありがとうございます!!と思わず涙してしまうような。
本当に、ものづくりに携わる人のみでなく、
仕事や生き方で迷っているすべての人たちに、
とても励みになるアーティストであり作品だと思います。
そんな草間さんも1970年代くらいの作品は、コラージュを作って見たり、
ちょっと画風が違っていて、先生でも迷いがあったんだと。
それはそれでやはり励まされる気分。
大昔、私はとあるパネルディスカッションでまだ無名の頃の
草間彌生に会ったことがあり、当時は作品を知らないまでも
おもしろい人だと思ったものです。
当時は小説を書いたりもしていて、それがまたおもしろく、
私は何冊かエッセイや小説を持っていますが、
そんな風に色々手を出したりしていた時代があるのも興味深い。
そして、現在88歳の彌生先生、
まだ30年は描き続けたいという野望をお持ちのご様子。
みなさん、私たちもがんばりましょう!!

*写真は、「わが永遠の魂」展示会場。ここの空間のみ撮影自由。みんなここで絵を撮ったり絵を背景に自撮りや友人同士、家族、カップルが撮影会をしていました。
*プリミティブさとダイナミズムが美しい作品。アフリカの民俗アートのようなフォルム。
*会場の外の木も草間彌生調水玉でラッピング。

クール&スタイル・鹿の子のドレスシャツ

新緑や薫風の心地よさを味わっているうちに、
もうすでに汗ばむ季節が近づいています。
とはいえ、朝夕は肌寒いこともあり、
一年で一番過ごしやすい時期とはいえ、
一年で一番着るものに迷うのもこの時期。
その日の朝、シャツの素材の判断を間違うと、
無駄な汗をかいて二倍疲れるということにもなりかねません。
この時期、さわやかな着心地のシャツをお探しの場合は、
鹿の子素材のアイテムがおすすめ!

ニット素材である鹿の子には生地表面に微細な凸凹があります。
これによって、肌に触れる面積が少なくなり、
布帛の生地とくらべてベタつきにくく、サラっと着られるのが特長です。
通気性も優れていて、汗ばむ季節には最適。
もともと、ポロシャツやスポーツウェアなど、汗をかくようなシーンの
アイテムに用いられていたのも、こうした特性からといえます。
また、伸縮性に富んでいるので動きも楽で着心地いいのが最大の特長。
ただでさえ汗ばんで動くのが億劫になる季節には、
さわやかな着心地のシャツが何よりの味方。
しかも、シワになりにくいという機能性も大きな魅力。
この季節の出張などにもたたみジワができず便利です。

とはいえ、ポロシャツではオフィスはちょっと、というケースも。
そんな時のために布帛のシャツ同様の仕立てと縫製で造られているのが、
土井縫工所の鹿の子のドレスシャツです。
素材のコーマ糸は、美しい光沢と耐久性に優れた細番手の高級綿糸で、
糸を2本合わせて織る双糸にすることで、
肌触りも耐久性もアップしています。
素材の光沢や仕立ての美しさは、
タイ着用でスーツのスタイリングもお任せという仕上がりです。

クールビズもスタートしたばかり。
この時期に最適な鹿の子のドレスシャツですが、
カジュアル過ぎないところが日本のビジネスシーンにはぴったり。
まずはノータイでリネンのジャケットなどに合わせたいところ。
また、サイズはちょっとタイト目を選んでボディフィット気味にしたほうが
イタリアンな雰囲気が醸し出せます。
今年の土井縫工所のテーマはユーロアメリカン。
シンプルでカジュアル、若々しいアメリカンテイストのアイテムを
イタリアやフランス、イギリスなどの伊達男たちが着こなしたら?
カジュアルな中にもヨーロッパの甘みや色気が加わって、
ひと味もふた味も味わいの深さが奥まった感じです。
鹿の子のドレスシャツも、きっちりしたジャケットで着こなすもよし、
あえてシワっぽいリネンのシャツジャケットで着こなすもよし。
パンツは細身で、腰回りにちょっと余裕のあるものが新鮮です。
ジャケットもシャツジャケットも、今年は淡い色のものに挑戦してみても。
サックスブルーや淡いマスタード、淡い若草色などが気持ちよさそう。
白い鹿の子のドレスシャツに天然素材のボトムと、
爽やかな色調のジャケットで、
汗ばむ季節をクール&スタイリッシュに!!

Golden is Silence

大型連休がはじまりました。
初日の土曜日、テレビのニュースは、
恒例の空港出発ラウンジの光景を伝えていました。
東京から南北の他府県へと続く自動車道の渋滞の空撮もお約束。
この時期、海外や国内旅行で、あるいは家族または単身での帰省で、
しばし日常生活から離れて気分転換されている方も多いと思います。
とはいえ、自由業と言う名の不自由業である身としては、
連休と言ってもデスクワークがあったりして、
例年東京に埋没しています。
昨日は夕暮れ時から二子玉川に行って来ました。
ここは田園調布などのブランド駅が多い東急田園都市線・大井町線にある街で、
住みたい街ランキングで10位よりちょっと下(笑)くらいに
いつも名前が出ている街。
大昔は遊園地があることで知られ、それ以外はとくにパッとしない街だったのが、
1969年に日本初の郊外型の大型ショッピングセンターとして
高島屋がオープンしてから、一気にオシャレ感とハイソ感が出て、
さらに近年は駅前の再開発で大型SCビルやオフィスタワーが増え、
その中に高級ホテルや楽天本社ビルがあったりして、
街の雰囲気は加速度的にオシャレ感と、ブランド感が増しています。
うちからはバスで20〜30分、隣町と言ってもいい近さなので、
ついついすっぴん・普段着で行ってしまうのですが、
結構ピカピカな方々が多いのが実情です。
とはいえ、カフェで隣り合うマダムたちもみな
「次は◯分発でそれ逃すときついかも」とか話していて、
結構バス利用客が多いのも実情です。

二子玉川という名の通り、街の南端は多摩川に接しています。
駅前でバスを降りると、SCには行かず、私はまず、河原に出ます。
うちの近所にも多摩川は流れていて、東京百景に選ばれている
プチ名勝などもあるのですが、あまり人工的ではなく、
昔のままに保存されている感じ。
ところが二子玉川駅近辺の河原はそれはもうきちんと整備されていて、
こりゃもう河川公園の趣ですなあ、と常々思っていたら、
本当に『兵庫島公園』という名前の公園なのでした。
ひょうたん池や人口の小川があって、子どもたちが水遊びができます。
家族連れはもちろん
(パパ&子どものパターンが多いのは、ママがSCで買い物中なのかも)、
若い女の子のグループがSNS用の写真を撮り合っていたり
カップルが散歩していたり、
男女のグループが芝生ではしゃいでいたり。
このあたりが街のブランド化に成功している要因なのでしょう。
お買い物だけの満足度ではない、その場所にいることの喜び。
それはもう駅前のSCビルのいたるところにもその試みが感じられます。
オフィスタワーの高層ビル以外は低層に押さえて、
中庭風のデッキテラスから各ショップやカフェ、
レストランにアプローチできる。
ショップ群を抜けると広場のようなテラスがあり、
大きな空と開けた視界が楽しめます。
さらに屋上にはテラス。
最近、モノよりコトの時代と言われますが、
購買欲をそそるには、まず、その場所を居心地良くしようというコンセプトが、
そのSC全体を貫いています。

1970年代に、西武百貨店渋谷店の当時の社長、堤清二は、
さまざまな革命的路線を打ち出した人ですが、
その中で社員に「車道を渡れ」と檄を飛ばしたという伝説もありました。
西武の前は二車線ほどの車道ですが、
横断歩道ではなく、車道を歩いて横切れというのです。
当時のパリやロンドンの街では繁華街の車道が細いせいもあって、
若い子たちはみな横断歩道を無視して渡っていました。
そういう自由な雰囲気をデパートから広げて行くんだという
街づくりの意識があったようです。
それでこそ、この街に人が集まり、
デパートに人が集まってきて買い物をする、という。
あれから約半世紀後の今。ショップやカフェの合間に広場で憩う人々。
小売業の販促をめぐる街づくりは、
さらに発展してここにあると感じます。

ここにはとても大きな蔦屋があって、蔵書の数、約15万冊。
探している本は、たいがいなんでもあるという印象。
しかも店内にダイニングやカフェ(スタバ)もあるので、
お茶でも飲みながら買った本がすぐ読めるのもうれしい。
とはいえ、連休初日のスタバは買うだけでも長蛇の列で、
とても並ぶ気になれませんでした。
連休後半に旅行が控えているのか、それとも東京埋没組か、
それぞれの事情を抱えて郊外の街に集まる人々。

私はZARA HOMEで、大きめなマグカップを買いました。
フレンチぽくてアンティークっぽくて、これでお茶を飲んだら、
フランスの田舎町の小さなカフェの雰囲気が味わえるかも
なんぞと思うわけです、夢見るご婦人は。←はい、私。
物にはストーリーが必要です。

*写真は、上から二子玉川の兵庫島公園、二子玉川RIZE、RIZEのエントランス近辺。

*タイトルは、60年代後期の洋楽のヒットナンバー”Silence is Golden”
(トレメローズ)から。ゴールデン・ウイークは、一部の東京がとても静かになるので。

ドレスシャツに関する6つのQ&A


満開の桜には、見慣れた街の景色を一変させてしまうチカラがあります。
壮麗な桜並木はもちろん、
一本だけ立っているような桜もまた、凛々しい存在感があります。
その下で仕事仲間らしいおじさん二人が座って、
枝豆をつまみに発泡酒を飲んでいました。
なんだかとっても微笑ましくて、桜は愛情深い木だなあと思いました。
そんな桜も都心では盛りが過ぎ、あちこちで花吹雪に出会います。
歩いていると音もなく花びらがハラハラと舞い降りて来て
下を見れば道路や水面を覆う桜色の絨毯。
そんな光景もこの時季の風物詩です。

新入社員の方々は、社会人生活がはじまったばかりですね。
気持ちを楽にして、でも誠実に、なんでも吸収して、
大きく育っていかれますよう。
色々心配なことやわからないこともあると思いますが、
服装もそのひとつでは?
とりあえず、ドレスシャツに関しての「よくある質問」を
Q&A形式で書いてみますので、ぜひチェックして役立てていただければ幸いです。

【ドレスシャツに関する6つの疑問】

Q1
ビジネスユースで着るシャツは普通、何枚ぐらい持っていればいいの?

A:
襟や袖は皮脂などで汚れがちなので毎日着替えるとして、最低5枚は揃えておくと機能的。
(ちなみに「弊社は月数回土曜出勤あるよ〜」という方は最低6枚をおすすめします)
洗濯方法にもよりますが、家庭で洗濯する場合、シャツには約60回程度の耐久性があります。
5〜6枚のシャツをそれぞれ週1回着て洗濯するとすれば?
1年過ぎたくらいで買い替えてのメンバーフルチェンジをおすすめします。

Q:2
ビジネスユースだけで考えた場合、どういうシャツを揃えておけばいいの?

A:
ビジネスシーンで着用することを考えるなら、
白ベースの衿型ちがいで3枚、サックスベースやストライプなどで2枚、
を揃えておけば、どういうスーツにも対応できます。
同じ白ベースでも衿の形が変わると印象がちがって来ますし、
さらにサックスなどの色やストライプなどの柄で
だいぶ変化がつけられるので多様なコーディネートが可能です。

Q:3
洗濯を繰り返しているうちに、白いシャツが黄ばんできた!
この黄ばみ、落とせないの?

A:
黄ばみは皮膚から出る皮脂が原因です。洗剤だけでは充分に落とせないので
「酸素系漂白剤」の使用がおすすめ。
漂白剤を買うとき、絶対に、色柄まで脱色してしまう「塩素系漂白剤」とまちがわないように。
両者とも各洗剤メーカーから出ていますが表示の文字が小さいので要注意! 

Q:4
家で洗濯していたら衿先が黒ずんできた!
なぜでしょう?どうしたら防げるの?

A:
洗濯する水の中には目に見えない細かいほこりや糸くずなどが混ざっていて、
洗濯を繰り返すうち、それらがシャツの生地目から入り込んでしまいます。
入ったものが洗濯槽の回転による遠心力で、衿先に集まってしまうのが原因。
残念ながら取り除くのは難しいので、
あらかじめ白っぽいものと黒っぽいものを分けて洗うことをおすすめします。

Q:5
汚れたシャツもドライクリーニングに出せばきれいになるの?

A:
これまた残念ながらNOです。
ドライクリーニングは水洗いのできない製品、たとえばシルクやウールの素材や、
スーツやコートなどに対応する洗い方です。
油性の汚れ落ちは良好ですが、汗などの水性汚れは落ちません。
毎日着るような綿のシャツはドライクリーニングに不向きです。

Q:6
綿のシャツなどは洗濯したあと、どのくらい縮むの?

A:
シャツの製造は、JIS L 0217(103法)という基準に則って作られています。
この中で、家庭洗濯で縮み3%以内、伸び1%以内と定められています。
たとえば首周り39cm、裄丈84cmのシャツなら素材により、
最大、首周り1cm強、裄丈2.5cm縮むという計算になり、
裄丈なので、両袖はそれぞれ、最大1.25cmの縮み率ということになります。
クリーニングはこの基準の適用外なので、
数値がオーバーしたり、逆にボディプレスの使用によって、
身幅が広がる事例も増えています。
中には安くて上手なところもあるかも知れませんが、
技術があればそれなりの値段になります。
信頼できるクリーニング屋さんを探すことも服を長持ちさせるコツです。

(Q&A出典:
“THE DRESS SHIRTS BOOKLETーHow To Keep Your Dress Shirts Looking Smart”
©DO-1 SEWING INC.2016)

春先の一歩をスタイリング

やっと暖かくなったと思えば、また冬のような肌寒さが戻ってきたり
今年の春はなかなか手ごわいようです。
東京では全国に先駆けて開花宣言が出たとたんにまたも氷雨に見舞われ
桜もお気の毒に。
満開時期が遅れているおかげで今年は、入学式や入社式は花の下で、
という想い出深いシーンが展開するかも知れませんね。

新しい生活をスタートする人はもちろん、
これまでと全然変わらない、という人も、
なぜか新鮮な気分になるのが春のマジックです。
木々を見れば若葉が光り、
花々がいっせいに咲き誇るのですから、
それだけでも気持ちをアップさせてくれます。

暖かくなれば服装も変わり、厚手のものから薄いものへ、
それにともなって色目も薄くしたくなるもの。
さて、足元は?
冬場は黒い靴が多かったという場合は、ダークブラウンや
マロンブラウンなどの茶系、スエード素材なら思い切って、
ちょっと濃い目のベージュなどにしてみるのもいいですね。
就活や硬いビジネスシーンには不向きかも知れませんが、
やや自由度のある職場やオフタイムなら、
茶系の場合はローファーなどがおすすめ。
ローファーも、シンプルなものから、
タッセル付きのものや
馬具のような金具がついたビットローファーなどがあります。
ちなみにビットローファーの「ビット」とは
「ホースビット=馬のくつわ」のこと。
このローファーを最初に考案したのはかの有名なGUCCIで、
大人の男性が履いてもきちんとして見えるカジュアルシューズを、
世に出したかったのだとか。
それをデザインする過程において、
レディースのバッグに付けていた馬具の飾りを
メンズのローファーにつけてみたのだそうです。
「これいいじゃん!!」と当時のGUCCIのデザイナーや職人さんが
言ったかどうかは不明ですが、1953年の発売以来、
世界のモード市場では大評判となり、
今では様々なメーカーやブランドで作られている、
定番のローファーになっています。
これを履くと金具の効果で全体のイメージにちょっと光りが増します。
今年っぽいローファーを選ぶなら、
アッパーが浅く、脚の甲の部分の露出が多くなるものを。
靴の造りが華奢なイメージになり
イタリアンな雰囲気に仕上がります。
デニムやロンドンストライプのドレスシャツに淡い色の細身のパンツ、
足元にはイタリアンぽい繊細な造りで、なおかつ淡い色目の、
スエードのローファーを合わせる。
今年の春のスタイリングにはずみが付きそうです。

ところで就活中の方や、春から新入社員という方は、
履きなれない革靴で大変という場合もありそうですね。
最近はアッパーがビジネスシーン向けにデザインされた革靴でも、
ソールがそうとはわからない仕上げでラバーソールのものや、
履き口全体に目立たない仕様でストレッチ素材を施しているものなど、
足への負担を軽減している革靴が増えていますので要チェックです。

サクラが列島を静かに上がっていくこの季節。
新たな気分で軽い一歩を踏み出しましょう。

ユーロアメリカンの味わい

日を追うごとに春の兆しが色濃くなり、
花々が開花を待ちわびているこの空気感。
春ならではの静かなエネルギー、静かな盛り上がりを感じます。
季節の変わり目で初夏のように汗ばむ日もあれば、
急に冬日が舞い戻ってくる日もあります。
こんな季節のコーディネートにおすすめなのがデニムシャツです。
新鮮な素材感を醸し出しつつ、
この時季の気温の変化に対応してくれる素材でもあります。

デニム素材というと、印象としてはアメリカンな感覚がありますが、
世界で一番伊達男が揃うイタリアを見るまでもなく、
パリやロンドンの街角でも、オシャレな男たちのコーディネートに、
欠かせないアイテムとなっているのがデニムのシャツです。
いかにもヨーロピアンなアイテムで揃えた中に、
一点デニムを加えることで双方が引き立てあい、
粋で新鮮なスタイリングに変化します。
ヨーロッパの視点を経ることで、アメリカンなデニムシャツが、
新たなグローバルアイテムになっている気がします。

デニムシャツに合わせるアイテムとしては、
定番の紺色ジャケットはもちろんですが、
グレンチェックやガンクラブチェックなど
細かいチェック柄の細身のジャケットや
淡い色目の麻のジャケットなどと合わせるのが、
今期おすすめのスタイリングです。
紺色ジャケットの場合は、
普段より少し大胆な柄や色使いのタイを合わせたり
ちょっと冒険してみるのもいいですね。
タイを締めないときは、
麻やコットンの軽い素材のロングスカーフをプラスしても。
パンツは白系のものがおすすめ。
白、生成りや淡いベージュなど、
下半身を軽い色目にすると粋な感じが増し、
ヨーロピアンテイストになります。
腰周りにややゆとりがあり、裾に行くに従ってタイトになる、
そんなシルエットのパンツがトレンドといえそうです。
もちろん、丈は短めで。

さて、ここで肝心なのがデニムシャツ自体のセレクト。
定番アイテムなので、どこでもいつでも流通しているだけに、
ここはひとつ、大人の品格を醸し出せる、
上質な製品を選びたいところ。
土井縫工所の今月の新アイテムとして登場したデニムのシャツは、
インディゴと生成の糸で織った上品な色合いと、
肌に優しく触れるしなやかな風合いが特長の、
大人のビジネスマンのためのドレスシャツです。
淡い色調のバイオブリーチ加工と、
よりインディゴの藍を残したバイオウォッシュ加工の2色展開。
エントリーモデルにはホリゾンタルワイドカラーと
ボタンダウンの2つの襟があります。
ボタンダウンにタイを締めて、あえてタイバーをつける。
そんなスタイリングがヨーロピアンの
おしゃれ心かつ遊び心といえます。
土井縫工所の2017年SSのテーマは「ユーロ・アメリカン」
アメリカンなアイテムをヨーロッパテイストでスタイリングする。
ミラノやパリ、ロンドンの伊達男たちの感性で着こなすアメリカ。
同じ地平にあるのが現代ニッポンの洒落男たちの感性といえます。
上質なデニムのドレスシャツで、
この春のスタイリングをスタートさせてみては?

春を呼ぶリバティ

およそ技術開発されているものはほとんどみな、日々飛躍的に進化しています。
でも、ファッションやデザインに関しては、
進化するだけではなく、レトロ、つまり、過去に退行するのもスタイルのひとつ。
ファッションに関しては1960年代初期に、
一定の進化の過程を終えているような気がします。
もちろん個々のデザインであれば色々個性的なものは出ていますが、
ファッション体系の流れを変えるほど革命的なスタイルは、
60年代にもう出尽くしていると思うのです。
たとえばマリー・クワントのミニスカート以来、
「こんなのはじめて見た!!」というファッションに出会っていないような。
80年代に入ってからはボロルックとか、
グランジスタイルとかはありましたが、
それも、デザインそのものの変革ではなく、
わざと穴を開けたりするというアレンジの範疇でした。
かくして進化を止めたファッションは、
歴史の中からおもしろそうなモノをピックアップしては、
現代風にアレンジしています。
60年代以来、私たちはすでに新しいものではなく、
すでに作られたデザインのニューアル、リサイクル、リユース方向での
冒険を遂行していると言えます。
それはそれでおもしろいのですが、
もちろん、素材的にはこれからも進化して、
こんなの10年前は考えられなかったというような
画期的な素材が生まれる可能性はありそうです。

洋服を形作るものはデザインとパターン、生地と付属品、
そしてテキスタイル。
中でも、テキスタイルはデザイン同様、その時代のトレンドを担うものです。
別の言い方をすれば、はやりすたりに左右されるので、
一番新しかったものがあっという間に古くなっていき、
気がつけば一番古いものとなり、さらに気がつけば、
「今、これって新鮮じゃん!」となる。
そんなトレンドサークルが現代ファッションの実情だと思います。
さて、日々うつろうトレンドですが、
中には不滅のメンバーもいます。
とくにテキスタイルでは、ストライプ、水玉、花模様、ペイズリー。
いつどんなトレンドの時代も、このメンバーはレギュラー。
そして、リバティプリントもまた、どの時代にも一定の地位を占めています。
いつ見ても新鮮な印象を与えてくれる不思議な存在感。
とくにクラシックシリーズは、
100年以上も前にデザインされたプリント柄でありながら、
今なお多くの人を惹きつける磁力に満ちています。
アールヌーボースタイルを思わせる手法で描かれた植物柄は、
図案化されたものなのに野性的で生き生きとしていて、
パワフルな生命力を感じさせます。
なおかつオシャレでシック。
いつの時代にも新鮮に感じさせる要因は、そのあたりにありそうです。
そんなリバティプリントのシャツは襟元から見えているだけで、
見る人にスタイリッシュなイメージを与えます。
鮮やかな色調を用いたものや、抑えめな色調で描かれたものがあるので、
ジャケットの色目に合わせてコーディネートしてみましょう。
あるいはこれから春に向かい、
カーディガンなどで過ごす機会も増えてくる頃です。
V襟カーディガンのVゾーンからクラシカルなリバティプリントが見えると、
それだけで新鮮な印象を与えそう。
ディープなヨーロピアンテイストというイメージの
リバティプリントですが、あえてコットンパンツなどに合わせて、
アメリカンにスタイリングするのもコツ。
フローラルなリバティのシャツで、春を先取りしてみてはどうでしょう。
春夏には新柄のシャツも誕生します。

マダム・ヴィヴィアンの新風

最近、「オシャレ番長」と評判のイギリスのメイ首相。
新首相に就任以来、政治家には珍しい、
モードなスタイリングが注目を集めています。
メイさんは60歳。英国国教の牧師の娘で、オックスフォード大学卒。
内容的には異なりますが日本でいえば東大卒的な高学歴です。
卒業後、イングランド銀行に勤めたのち、
政治家に転身した人で保守党の党首でもあります。
あまり自分の考えを表さない人で「氷の女王」の異名を取るとか。
少なくともファッションには考えがありありと表れていますが。
とはいえ、キャリアだけ見ればファッションとは無縁のように思えます。
仮に服が好き、装うことが好きであったとしても、
バックグラウンドやこれまでのキャリアからして、
シンプルで無難な格好か、いかにもマダムな保守系ゴージャスさか、
いきなりファッションに目覚めて勘違いな派手さに走りがち。
政治家とか文化人に多いのがその3つのパターンです。
その人たちのこれまでの人生で、とりあえずファッションは、
突き詰める対象ではなかったんだろうなと見て取れるスタイリングというか。
そんな中で小池百合子都知事は、とてもおしゃれですが、やはり保守系。
年齢相応・地位と立場相応の上質素材&仕立てのいい、
ベーシックなデザインの服をそつなくエレガントに着こなしています。
とはいえ、今の20〜60台くらいの年齢の女性の中で、
とくに小池さんファンでない限り、
そのファッションが大きく影響を及ぼすということはないような。
まあ、グリーンのものを身につけるとかはべつの話として。
その点、メイ首相は就任式のスタイリングという第一球で、
まずかっ飛ばしてくれました。
エリザベス女王の前で中腰になり挨拶するそのとき、
ミドル丈ほどのコートはネイビーと鮮やかなイエローとのバイカラー。
そして足元はヒョウ柄のローヒールパンプスといういでたち。
これで全世界のファッションマニアの心を鷲掴んだメイ首相。
以来、ホームラン球のボールをかっ飛ばし続けています。
とくにヴィヴィアン・ウエストウッドのような服は、
60歳のマダム、しかもモデル顔でもモードなヘアメイクもしていない、
普通のおばさん(失礼)が着こなすのはとてもむずかしいはず。
ところがメイさんはヴィヴィアンの中でも、
襟のデザインが変形で立体的でありながら、
全体の形はベーシックで無地のジャケット、というようなアイテムを選び、
すんなりスマートに着こなしています。
まあ、手足がとても長くてスタイル抜群という強みがあるとしても、
何を着てもとてもよく似合っていて、借りて来た服には見えない。
その感じからしてメイ首相は本当に服が好きなのだろうなと思わせます。
自分の風貌や体つきを全部ひっくるめた雰囲気。
それと自分の好みをすり合わせながら、服を選んで着こなす。
その楽しさをよく知っている人のスタイリングです。
某国の某大臣は、お嬢さんがスタイリストをなさっているとかで、
いつも女子大生か新人OLのようなアイテムでコーディネートしていますが、
オシャレ感を出すつもりでそうしているのだとしたら真逆の効果かと。
年齢やキャリアに見合ったオシャレ感を出さないと、
娘の服を借りているだけの若作りのお母さんにしか見えません。
せっかく、オシャレ分野でも評価されたいという意識をお持ちなのに、
そこが勿体無いし残念だなあ、といつ見ても思うのですが。
メイ首相がステキなのは、60歳という年齢で、
ヴィヴィアンを着こなし、それが若作りには見えない点。
それはアイテム選びや、
自身に似合うものを選び取る感覚にかかっているのですが、
まあ、そこがファッションセンスというものなのでしょう。
ちなみにかつて私がヴィヴィアンにインタビューしたとき、
「年齢層の高い人に着て欲しい、そういう人たちのために作っている」
と明言していました。
最近は、ヴィヴィアンもこなせるメイ首相のような、
年配のオシャレさんが日本にも増えているなあと感じます。

メイ首相はほとんどの服ずきな人がそうであるように、かなりの靴マニアです。
そのチョイスがまた、先程のヒョウ柄であったり、
ほかにもヘビ柄やマルチカラー、スタッズ付き、メタル使い、
爬虫類とビジューのコラボなど、
靴ずきにはたまらないコレクションをこれでもかと見せてくれます。
服も靴も含めて、メイさんの好みは
「シンプルかつどこかに強烈なスパイスが効いているもの」という気がします。
服がシンプルだったときは、靴が強烈だったり。
爬虫類にビジューをあしらった靴など、
一歩間違うとキッチュになってしまうアイテムを
エレガントにスタイリングできている点が、
メイ首相、ほかの政治家とはひと味もふた味も違います。
というか、首相のような政治家が履いている靴を、
え、これどこの?と血眼になって調べたくなるなんて、
こんな日がこようとは。
トランプショック同様、メイさんからも目が離せません。

そんなメイさんは無人島にひとつだけ持って行くとしたら何?
と聞かれて、「VOGUE」と答えたとか。
それほど服好きな結果のあのオシャレ番長ぷりや、
そのスタイルが多くの女性に影響を与えているという点が評価されて、
今回、アメリカ版VOGUE4月号の表紙に登場するとニュースになっていました。
これまでにサッチャー首相もUK版には登場したことがあるそうですが、
アメリカ版の表紙に出るのはメイ首相が初だそうです。
これは快挙といわざるを得ません。
メイ首相の別荘で撮影されたというその写真、見るのが楽しみです。

かつて小池百合子都知事が当時の米・ライス国務長官に絡めて、
「私をマダム寿司と呼んでくれ(So,why don’t you call me,Madam Sushi)
と言ったことをみなさん、覚えておいででしょうか?
これ、いまだに「百合子語録」のトップランキングにあると思うのですが、
今、メイさんは私の中で「マダム・ヴィヴィアン」であります。
政治✕ファッションて、本来噛み合わないものなので、
ちょっとクロスしてスパークすると、かなりおもしろいのです。

この春は自分を仕立ててみよう。


クリスマスから年末年始へと続いたイベントシーズンも
やっと落ち着いた頃ではないでしょうか?
ここしばらくの飲み過ぎ・食べ過ぎを後悔して、
ウエイトコントロールをはじめる方も多いのでは?

服をおしゃれに着こなすには、ボディラインが重要、という考え方があります。
事実、ショップなどで一枚の服に一目惚れしつつも、
自分の体型では無理かもと泣く泣くあきらめる、
そんな経験はほとんどの方にあるかと。

確かに、スリムだったり、小顔で手足が細長かったりすれば、
どんな服を着ても似合うし、
それなりに着こなすことができます。
モデルさんがパリコレで拍手喝采を受けたバルーンワンピースも
私が着たらどう見てもゆるキャラの着ぐるみにしか見えないとか。
でも、ショップのマヌカンの方は、ショーモデルより小さくても、
それなりに着こなしていたりします。
てことは、やっぱりボディラインと顔のサイズと雰囲気がモノを言うのか?
などなど、服とボディラインの関係は、
おしゃれを意識する上で、つねに目の前に立ちはだかる大きな壁です。

そんなとき、少し勇気を与えてくれるのが、
「The Sartorialist」という本です。
ご存じの方も多いと思いますが、
これは、同名の人気サイトが紙媒体になって出版されたもので、
オンライン同様、とても支持を集めているようです。
この写真のものは一冊目ですが、現在、3冊まで出版されています。
著者のスコット・シューマンは、独学で写真をはじめ、
ファッションに興味があったものの、いわゆるファッション写真ではなく、
ストリートで出会うおしゃれな人たちを撮ることに興味があったといいます。
彼が選ぶ人は、それこそ世界的なセレブやファッショニスタもいますが、
チマタの無名な人々がほとんどでした。
中にはいわゆるおデブさんや、
体型的に見て、まずモデルは無理という人も大勢います。
でも、それぞれにその人らしいおしゃれをしていて、
全員、迫力も説得力も魅力も抜群です。
スコットは彼らの写真を載せたストリートスナップのサイトを
2005年にスタート。
以来、世界中のファッション大好きさんたちの間で評判となり、
今では一日で10万ビュー以上あるといわれ、
彼は「世界で最もデザインに影響を与えた100人」に選ばれたり、
ベストブロガーに選ばれたりしています。
サイト名と著書名の「The Sartorialist」は、仕立人というような意味。
そう、服を仕立てる人です。
登場している人たちは、実際に自分で服を仕立てているわけではありませんが、
(中にはそんな人もいるかもですが)
自分に似合うものを探して組み合わせて着こなすことが、
自分を仕立てることになる、そんな意味合いではないかと思います。
サイトや写真集には、若い人からおじいさん・おばあさんまで、
経済力を感じさせる高級スタイルから、
およそ経費をかけていないエコノミースタイルまで、
さまざまな人たちが登場しますが、
共通しているのは、全員、着るものにこだわっているという風情。
一見してそれとわかる小粋なファッショニスタのみならず、
一見見逃しがちなヨレヨレ風のじーさんが、
よく見れば相当こだわってアイテム選びをしているのがわかります。
服を着ることの楽しさや装うことは、
今日何を食べるかということと同じ、すなわち人生だということを、
改めて思い知らされるサイトであり写真集です。

スタイリングを集めるというフィールドワークは、
民俗学的にもすこぶるおもしろい企画という気がします。
写し取られているのは室内空間や生活スタイルそのものではないにせよ、
人は服を着てそこに立っているだけで、
その人の生活環境をも背負っているんだなと感じさせます。
つまり、服は人生そのもの。
だからこそ、ストリートスナップはおもしろい。
ちょっと体重過多でもおちびちゃんでも痩せすぎでも顔が大きくても、
つまりアンチファッションな体型でも、
「これが私なのよ」という意識さえあれば、
おのずと選ぶものもその人らしさが出て、
その人にしかできないスタイリングが生み出されて、
説得力と魅力が出てくるものだと。
「The Sartorialist」には、ファッションのひとつの答えがあります。

サイトを見ているだけで、スタイリングへの意欲が湧いてきそうです。
この春のスタイリングの参考にどうぞ。

写真集は、 ”The Sartorialist” Scott Schuman   Penguin books
サイトは、 http://www.thesartorialist.com/
です。ご覧あれ。